この記事で分かること
- ChatGPTとRAGが同じ種類のものではない理由
- 社内情報への接続が必要な業務
- 既製機能と個別RAGの選び分け
- 権限・根拠・評価を含む導入手順
SUMMARY / 3行結論
先に結論
- ChatGPTはAIを利用する製品・対話環境、RAGは質問に関連する情報を検索し、回答生成へ渡す設計方式です。
- 文章の下書きや一般的な発想支援はChatGPT単体、社内規程・案件・製品情報に基づく回答は検索接続やRAGが必要です。
- 現在のChatGPTにも会社知識へ接続する機能があります。利用可能なプラン・接続先・権限を公式情報で確認し、個別構築と比較します。
ChatGPTとRAGは比較する階層が違う
ChatGPTはユーザーが文章生成、要約、分析、対話などを行う製品です。RAG(Retrieval-Augmented Generation)は、質問に関連する文書やデータを検索し、その内容をAIへ渡して回答を作る構成です。ChatGPTや別のAI製品の中でRAGに近い検索機能が使われる場合もあります。
6つの観点で違いを整理する
| 観点 | 一般的なChatGPT利用 | RAGを使う社内AI |
|---|---|---|
| 主な情報 | モデルの知識と会話で渡した情報 | 検索対象として管理した社内情報 |
| 更新 | 会話ごとの入力や製品機能に依存 | 文書更新・再索引の運用を設計 |
| 根拠 | 一般回答は社内文書と一致しない | 取得文書と該当箇所を提示可能 |
| 権限 | ワークスペース・会話・接続設定 | 検索時に文書・利用者権限を適用 |
| 導入 | 利用開始が速い | データ整備・検索・評価が必要 |
| 責任 | 利用ルールと人の確認 | 加えて索引・検索・監視の運用責任 |
業務別に必要な方式を選ぶ
| 業務 | 最初の選択 | 理由 |
|---|---|---|
| メールの言い換え | ChatGPT | 社内固有知識が少ない |
| 会議メモの整理 | ChatGPT + 入力ルール | 対象資料を会話内で限定できる |
| 就業規則の質問 | 検索接続・RAG | 版・根拠・対象者の確認が必要 |
| 過去見積の類似検索 | 個別RAGを検討 | 項目検索、権限、案件連携が必要 |
| 顧客別契約の回答 | RAG + 人の承認 | 機密性と誤回答影響が高い |
3段階で必要十分な構成を選ぶ
段階1: 一般的な対話利用
機密情報を入れず、文章・発想・公開情報の整理で業務効果を確認します。
段階2: 既製の会社知識・ファイル検索
対象プラン、接続元、アクセス権、引用、管理機能が要件を満たすか試します。
段階3: 個別RAG
独自データ、検索条件、業務画面、監査、他システム連携が必要な部分だけ構築します。
OpenAIの公式情報では、対象プランのCompany Knowledgeが対応する知識ソースを検索し、接続元の権限を尊重して回答にソースを示す仕組みを案内しています。名称、利用条件、対応環境は変わるため導入時に最新情報を確認します。
RAGで回答が作られる流れ
- 利用者の質問
- 利用者・部署・案件を認証
- 質問を検索用に整形
- 権限内の文書だけ検索
- 関連箇所とメタデータを取得
- 取得内容をAIへ渡す
- 回答・引用・不確実性を表示
- 評価ログへ保存
社内情報を扱う前の確認事項
- 入力・出力がモデル学習へ使われる条件
- 会話・ファイル・索引・ログの保存期間と削除
- 部署・役職・案件ごとのアクセス権
- 退職・異動時の権限同期
- 国外移転、委託先、監査・契約条件
- 個人情報・秘密情報を扱う利用目的
- インシデント時の停止と追跡方法
OpenAIはBusiness、Enterprise、API等の業務向けデータを既定で学習に使わないと説明していますが、利用製品、接続アプリ、エンドポイントにより保持・設定条件は異なります。採用時に公式の最新条件を確認します。
回答品質を検証する方法
| 評価 | 確認内容 | 不合格例 |
|---|---|---|
| 検索 | 正しい文書・版・箇所を取得 | 古い規程だけを取得 |
| 権限 | 利用者が閲覧できる情報だけ取得 | 他部署の機密を表示 |
| 根拠 | 主張が引用箇所に含まれる | 引用と回答が不一致 |
| 回答 | 質問へ必要十分に答える | 不明点を推測で補う |
| 拒否 | 答えられない場合に止まる | 根拠なしに断定する |
日常質問だけでなく、曖昧、誤字、複数条件、権限外、答えがない、文書が矛盾する質問を含めます。正答率だけでなく、危険な誤回答率と根拠確認時間を別に測ります。
社内AIの最終判断
向いている
- 使う社内情報、利用者、回答後の行動を定義できる
- 文書の所有者・版・権限を整備できる
- 回答と引用を評価する担当者がいる
- 既製機能と個別構築を同じ要件で比較する
向いていない・先に整理が必要
- 社内ファイルを全部入れれば正解すると考えている
- 古い文書・重複・権限を整理できない
- 法務・人事・契約判断を無確認で自動化する
- 構築後の文書更新と評価担当がいない
まず20〜50問の評価セットと、対象文書を限定した小規模検証を行います。SGPは既製の会社知識機能で足りる範囲と、個別RAGが必要な検索・権限・連携要件を切り分けます。
参考資料
仕様・制度は変更される場合があります。リンク先の最新情報も確認してください。
- Company knowledge in ChatGPTOpenAI Help Center / 確認日 2026.09.09
- Business data privacy, security, and complianceOpenAI / 確認日 2026.09.09
- Retrieval augmented generation (RAG) and indexes in Microsoft FoundryMicrosoft Learn / 確認日 2026.09.09
- Artificial Intelligence Risk Management Framework: Generative Artificial Intelligence ProfileNIST / 確認日 2026.09.09
- AI事業者ガイドライン経済産業省・総務省 / 確認日 2026.09.09